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フランチェスコ ワタナベ(Francesco Watanabe)
某アパレル企業のファッションバイヤー
スーツは私にとってただの服ではなく、人生そのものです。このサイトでは、フルオーダーはちょっと手が届かないけれど、既製品よりも自分に合ったスーツを探しているあなたに向けて、カスタムオーダーやセミオーダーの魅力をお伝えします。
座右の銘「美しいものは必ずしも美しくなく、好きなものこそが美しい(Non è bello ciò che è bello, ma è bello ciò che piace)」
好きなYouTubeチャンネル「Superlatio
個人的におすすできる日本のオーダースーツ屋「ダンカン

コロナ後のスーツ業界の売上変化を整理|スーツ専門店がこれから求められること

Ciao!

コロナの前と後ではスーツ業界の売上は大きく変化しました。現在では比較的コロナが落ち着きましたが、コロナ以前の売上や売り方に戻ったというわけではなく、単なる回復といえる段階ではありません。オーダースーツや機能性商品に強い現場目線から、需要の変化、売れる商品の特徴、今後のスーツ業界まで整理します。

目次

コロナ後のスーツ業界の現状と売上変化

コロナ後のスーツ業界は、単純に「回復した」と言い切れない現状にあります。実際、上場する紳士服7社のスーツ事業売上高は、2023年度に前年度比4%増の約3600億円まで戻り、2024年度も3564億円で横ばいを保ちました。一方で、店の数は2300店前後まで減っており、売上の戻り方は以前とは中身が変わっています。スーツは毎日着るものという認識から、必要な場面に合わせてきちんと選ぶものという考えが主になり、それに伴って買い方も変わってきています。

スーツ業界の売上はコロナ後にどう動いたのか

売上は、式典や対面商談の再開に合わせて下げ止まり、その後はゆるやかに持ち直しました。矢野経済研究所によると、国内アパレル総小売市場は2024年に前年比101.7%となり、4年連続で前年を上回っています。スーツ分野でも、新入学や入社式の需要が戻ったことで、春先を中心に動きが出ました。売れ方としては、昔のような大量販売ではなく、必要な時に質を重視して買う流れが多いです。

回復している部分と戻り切っていない部分

回復が目立つのは、オーダースーツや高価格帯です。自身の体に合う一着を求める人が増え、客単価は上がりました。反対に、既製スーツの販売数量は減少しています。WWDJAPANでは、2023年の販売着数は約330万着程度とみられ、コロナ前の2019年推計約480万着を下回る水準です。つまり、売上が戻って見えても、それは購入する枚数が増えたからではなく、一着あたりの単価が上がった面が大きいのです。

売上高だけでは見えない業界の実態

ここで大事なのは、業界の元気さは売上高だけで判断できない、ということです。店舗整理で固定費を抑えた結果、利益は改善しやすくなりましたし、オーダー比率の上昇も数字を押し上げています。

ただし、着る人の習慣そのものはコロナ前とは別物です。毎日着る仕事着から、突発的な出社や商談など必要な時に信頼感を整える服へ役割が変わったと言えます。業界を見る時は、売上高だけでなく、販売数量、客単価、店の数などもあわせて確認する必要があると言えます。

コロナ後にスーツ需要が変わった理由

コロナ後のスーツ需要は、売れ方が変わっただけでなく、選ばれる理由そのものが変わりました。スーツは「毎日着るから買う」より「ここぞという場で印象を整えるために選ぶ」という人が増えています。仕事のしかた、通勤の回数、社内の服装ルールが変わったことで、スーツは日常着から場面対応の服へ近づきました。

リモートワーク定着で着用機会が減った

いちばん大きかったのは、働き方の変化です。自宅で仕事をする日が増えると、上下そろったスーツを着る回数は減ります。以前は週5日着ていた人が、週1日か2日だけになると、買い替えの間隔も長くなります。着る回数が減れば、当然スーツの購入数量が少なくなり、実際に、「毎日スーツを着て出社していた時ほど消耗しないので、急いで買う必要がない」という人が増えています。

オフィスカジュアル浸透で購買基準が変わった

次に大きいのが、会社で求められる服装の変化です。ジャケットにスラックス、足元もカジュアルに寄った靴でよい職場が増え、従来型のスーツ一式が必須ではなくなりました。これによってスーツを買いに来る人のスーツ選びの基準は「正統派でしっかり見えるかどうか」だけではなく、「動きやすいか」「暑くないか」「ジャケットだけなど単品でも使えるか」に移ります。つまり、スーツは式典や商談など堅い場での使用だけでなく、ふだん使いとしてのカジュアルな要素も取り入れられるようになりました。

必要な時だけ買う消費行動が広がった

こうした流れの先で広がったのが、目的買いです。入社式、転職活動、久しぶりの対面営業など、必要な予定が決まってから選ぶ人が増えました。しかも、その一着には失敗したくないので、既製品を数着買うより、体に合う一着や長く使える一着にお金をかける動きが強まります。最近の需要では、「スーツが複数着必要」というよりも、「スーツを着る場面のために、目的や自分の身体に合ったスーツが欲しい」と考える人が多いです。

管理人

スーツをとりあえず複数買って仕事で使う、というニーズは減り、目的に合った一着を購入する人が増えています。

売上が戻った企業と苦戦した企業の差

コロナ後のスーツ業界では、企業によって売上や売り方が大きく分かれました。以前のように「数をそろえて安く売る」だけではなく、「少なくても納得できる一着」を求めるようになりました。つまり、売上が戻った企業は、以前のままの売り方ではなく、お客様への提案を変えています。反対に、昔の売り方をそのまま続けた企業は、客数も単価も伸ばしにくくなっています。

高価格帯やオーダー需要を取り込めた企業

売上を戻した企業に共通するのは、高価格帯やオーダーの需要を早く拾えたことです。たとえば、毎日着るためではなく、商談や式典で印象を整えるために買う人は、「数」より「合うかどうか」を重視します。そこで、体に合うサイズ、軽さ、着心地、見た目の品のよさまで丁寧に提案できる店は強いです。実際、「久しぶりに着るから、せっかくなら既製品ではなく、きちんとオーダーして作りたい」という声はかなり増えています。

既製スーツ中心では伸びにくくなった理由

一方で、既製スーツは以前より選ばれにくくなりました。着る回数が減った今、スーツ選びは「急ぎで間に合わせる一着」ではなく、「長く使える一着」を選びます。すると、価格だけで比べる売場は不利になる上、オフィスカジュアルが広がったことで、上下そろった定番品の優先度も下がりました。前なら何着も必要だった人が、一着をていねいに選ぶようになったため、既製品だけで数量を積み上げるやり方は伸びにくくなったと言えます。

比較項目売上が戻った企業苦戦した企業
商品の主力高価格帯、オーダー、機能性商品既製スーツ中心
売り方単価重視、提案型数量重視、価格訴求型
接客用途に合わせた提案ができる定番品の販売に寄りやすい
店舗運営店舗の絞り込みや効率化が進んでいる従来型の売場に依存しやすい

店舗戦略と商品戦略の差

業績の差は、店の作り方と商品構成にも表れます。広い売場で大量陳列を続けるより、必要な商品を絞り、接客に時間をかける店は今のスーツ需要に合いやすいと言えます。さらに、スーツ単品ではなく、ジャケット、パンツ、シャツまで組み合わせて提案できることが求められます。購入者にとっては、「この場面ならこの着方です」と示してもらえると、必要なものを選びやすいからです。

管理人

ニーズをより深掘りした上での提案ができれば、お客様にもお店にもメリットがあります。

スーツ業界の今後を左右する変化

これからのスーツ業界を考える時に大事なのは、売上の上下だけではありません。どんな人が、どんな場面で、どんな一着を選ぶのか、その基準が変わっているからです。「毎日着る予定はないけれど、必要な時にきちんと見える物はほしい」という声も多いです。つまり、スーツの役目は消えたのではなく、使われ方が変わったといえます。

若年層のスーツ離れの今後は

若年層のスーツ離れは、今後も続くと見るのが自然です。理由は単純で、働き始めた時から毎日スーツを着る習慣がない(着る必要がない)人が増えているからです。とくに、IT系や制作系では私服勤務が当たり前ですし、営業職でもジャケットだけでよい会社が増えました。

ただし、完全に不要になるわけではありません。就活、式典、商談、転職活動では、依然として「スーツの信頼感」が求められます。若い世代ではスーツをたくさん持つのではなく、「必要な時に失敗しない一着を持つ」方向へ動いています。

ビジネスウェアの多様化はどこまで進むのか

今後は、上下そろった定番のスーツだけでなく、より広い意味でのビジネスウェアが主流になります。たとえば、伸びる生地のジャケット、洗えるパンツ、単品でも使いやすいセットアップなどです。店頭でも「かたすぎず、だらしなく見えない服がほしい」という相談が増えています。こうした需要に対して、見た目のきちんと感と着やすさを両立できる商品は売り上げを伸ばしています。昔のように型が決まった服だけではなく、仕事の内容に合わせて選べる服が求められる流れは、まだ広がっていくはずです。

スーツ専門店はどのように変わるのか

スーツ専門店は、商品そのものだけではなく、売り場の考え方・売り方の考え方も変わっていきます。これからは、「何着必要ですか」ではなく、「どんな場面で着ますか」と、なぜスーツを着るのかを深掘りし販売する必要があります。ニーズに合った、印象を整える服を一緒に選ぶ店になれるかどうかが求められ、オーダー、補正、着回し提案まで含めて、購入者の不安を減らすことも大切です。若者のスーツ離れについては、若い人が何を着なくなったかではなく、どんなスーツが求められているのか、何なら着たいと思うのかを考える必要があるでしょう。

これからのスーツ業界で伸びる領域

これからのスーツ業界として、ただ定番品を増やす方法は消費者ニーズとずれていると考えられます。今の売れ方を見ると、「着る回数は少なくても、着る時はきちんと見せたい」「一着で終わらず、使いやすさもほしい」という需要が見られます。店頭でも、数をそろえる相談より目的に合った一着を深く選ぶ人が増えており、今後伸びる領域は価格だけで勝負するスーツではなく、「買う理由」があるスーツです。

オーダースーツ市場が伸びる理由

オーダースーツ市場は、今の買い方と相性がよいといえます。毎日着ない人ほど、いざという場面で失敗したくないという気持ちがあります。商談、式典、転職活動のように印象が大事な場では、サイズが合っていて見た目が整っていることが求められ、オーダースーツは着用者の安心にもつながります。実際、「着る回数は少ないので、せっかくなら自分に合う物にしたい」という声はかなり多いです。数より満足度を重視する流れの中では、体に合う一着を作れる価値がより強くなります。

機能性スーツや着回し需要の拡大

次に伸びやすいのが、機能性を持った商品です。ストレッチ性、軽さ、しわのつきにくさ、家庭での手入れのしやすさは、今では大きな判断材料です。さらに、上下そろえて着るだけでなく、ジャケットだけ、パンツだけでも使える着回しのしやすさも重視されています。こうした需要は、オフィスカジュアルが広がった今の働き方にそのままつながっています。

式典需要と法人需要

式典需要と法人需要も、今後の大事な柱です。入学式、入社式、卒業式、表彰式のように、節目でスーツが必要になる場面はなくなりません。しかも、その時は写真や対面の印象が残るため、安さだけで選ばれにくいです。また、法人では受付、営業、管理職向けなど、見た目の統一感が必要な場面があります。ここでは、機能性と見た目を両立した商品が選ばれやすいです。

分野伸びる理由
オーダースーツ着る回数が減った分、満足度の高い一着が選ばれやすい
機能性スーツ動きやすさ、軽さ、手入れのしやすさが求められている
着回し需要ジャケットやパンツを単品でも使いたい人が増えている
式典需要入学式や入社式など節目で安定した需要がある
法人需要見た目の統一感や機能性を重視する需要がある

スーツ業界の今後はどうなる

ここまで見てきたように、コロナ後のスーツ業界は、数字だけを見て単純に良し悪しを決められる状態ではありません。お店としても「売上は戻っているけど、以前のような活気とは少し違う」と感じる場面がよくあります。これは、売れ方も、買う理由も、選ばれる商品も変わったからです。だからこそ、業界の現状を考える時は、売上などの数字をそのまま受け取るのではなく、売り方の中身まで見ていく視点が欠かせません。

スーツ業界の現状を数字で見る時の注意点

数字を見る時にまず気をつけたいのは、売上高だけで全体を判断しないことです。たとえば、客単価が上がれば、販売数が減っていても売上は保ちやすくなります。実際、近年は高価格帯やオーダー需要の伸びで数字が支えられている場面が増えています。また、店の数を減らして効率を上げている企業もあるため、同じ売上でも意味は以前と違います。つまり、「いくら売れているか」だけではなく、「何着売れているか」「どんな商品が動いているか」まで見る必要があります。

売上回復という言葉をそのまま信じてはいけない理由

「売上回復」と聞くと、業界全体が元気を取り戻したように見えますが、その言葉だけで安心するのは早いです。なぜなら、今の回復は、コロナ前と同じ形ではないからです。毎日着る人が減り、必要な場面に合わせて買う流れが強くなった今、売上の中身は大きく変わっています。既製スーツの数量が戻り切らない一方で、単価の高い一着が売上を支えていることもあります。コロナ前と同じアプローチをすればスーツが売れる、とは限らないのです。

売上以外に何を確認すべきか

たとえば、販売数量、客単価、オーダー比率、店の数、法人需要の動きも重要です。さらに大切なのは、どんな場面で着る服として選ばれているかです。商談向けなのか、式典向けなのか、それとも着回し重視なのか、購入者のニーズはそれぞれ違います。数字は大事ですが、業界を見る時は売上の上下だけでなく、その中で何が売れているのかまで一歩深く確かめてみてください。

よくある質問

スーツ業界の業績は回復している?

スーツ業界の業績は、急回復というより持ち直しの段階です。コロナ後は式典や対面営業の再開で需要が戻り、売上高は下げ止まりましたが、コロナ前と同じ売れ方に戻ったわけではありません。販売数量は伸び切らず、オーダースーツや高価格帯商品の動き、客単価の上昇によって業績を支えているのが今の実態です。

コロナ後にスーツの売れ方はどう変わった?

いちばん大きな変化は、スーツ自体が毎日着るための服から、必要な場面で選ぶ服へ役割が変わったことです。リモートワークの定着やオフィスカジュアルの広がりで、まとめ買いは減り、代わりに、商談、式典、転職活動などで印象を整えるために、長く使える一着をていねいに選ぶ買い方が増えています。

オーダースーツ市場が伸びているのはなぜ?

オーダースーツ市場が伸びているのは、今の消費行動と相性がよいためです。着る回数が減ったぶん、買う時は失敗したくないと考える人が増えたと考えられ、サイズが合うこと、見た目が整うこと、着心地がよいことに価値を感じる人が多いようです。数をそろえるより満足度の高い一着を選ぶ流れが強まっています。

スーツがもっとも売れる時期はいつですか?

もっとも売れやすいのは、卒業、入学、入社が重なる春です。とくに2月後半から3月、場合によっては4月前半までです。この時期は、就職活動や新生活の準備も重なるため、初めてスーツを買う人も増え、業界全体で見ても、春商戦は今も売上を左右する大切な時期です。

今後のスーツ業界で伸びる商品や分野は?

今後伸びやすいものとして、オーダースーツ、機能性スーツ、着回ししやすいビジネスウェアなどが予想されます。理由は、見た目だけでなく動きやすさや手入れのしやすさも重視されているためです。また、式典需要や法人需要のように、一定の場面で確実に必要とされる分野も安定しやすく、今後は量より質を重視する商品が強くなると考えられます。

コロナ後のスーツ業界を正しく見るには、売上高だけでなく、売れ方や選ばれる理由まで考えることが欠かせません。業界の現状を整理したうえで、次に伸びる分野や商品にも目を向けてみてください。

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この記事を書いた人

Ciao! 私はフランチェスコ・ワタナベ、イタリア生まれ日本育ちの36歳です。父はミラノでテーラーを営んでおり、私もスーツに強いこだわりを持つようになりました。さまざまなスタイルや生地を見てきましたが、常に大切にしているのは「自分にぴったりの一着を見つけること」。このサイトでは、カスタムオーダーやセミオーダーの魅力を中心に、既製品よりもフィット感の良いスーツを探している方へ役立つ情報を提供します。あなたの理想のスーツ選びをサポートします! Grazie!

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