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スーツはオールシーズンモデルで十分なのか、それとも季節ごとに揃えるべきか。素材の違いや着用時期、ブランドごとの特徴まで、オーダースーツに精通した専門家が徹底解説します。この記事を読めば、失敗のないスーツ選びと快適な着こなしが実現できます。
オールシーズンスーツとは?

オールシーズンスーツは、その名の通り「一年を通して着用できる」とされるスーツのことです。しかし、実際には全ての季節に完全対応するわけではありません。日本のように四季の寒暖差が激しい地域では、春・秋・初冬に快適に着られるよう設計された「3シーズン対応」または「10マンス対応」のスーツが、オールシーズンとして販売されているケースが一般的です。気温や湿度が極端な真夏や真冬に着用すると、暑すぎたり寒すぎたりすることもあるため、選び方には注意が必要です。この記事では、そうした誤解を防ぎ、あなたに最適な一着を見つけるための判断基準をわかりやすく解説していきます。
どんなスーツを指す?
オールシーズンスーツとは、季節を問わず幅広い期間に対応できるよう設計されたスーツです。特に日本のビジネスシーンでは、「春・秋・初冬」を快適に過ごせる汎用性の高さが重視されます。最大の特徴は、生地の厚みにあります。
スーツの生地は一般的にその「目付(めつけ)」=1平方メートルあたりの重さ(g/m²)で季節適性が判断されます。
季節 | 生地の目安(g/m²) | 特徴 |
---|---|---|
春夏 | 約190〜230 | 薄手・通気性重視 |
オールシーズン | 約260〜280 | 中厚・調湿性と耐久性のバランス |
秋冬 | 約300〜350 | 厚手・保温性重視 |
オールシーズンスーツではこの中間にあたる260〜280g/m²程度の中肉ウールがよく使われています。この重さは、春や秋の気温変化に対応しやすく、初冬や冷房が効いた夏の室内でも違和感なく着用できます。
たとえば、気温の変動が大きい4月や10月の出勤時、「暑すぎず寒すぎない」という快適な着心地を求めるビジネスパーソンには最適です。季節ごとに何着もスーツを揃えるのが難しい方や、着回しを重視する方にとって、オールシーズンスーツは非常に合理的な選択肢といえるでしょう。
春夏・秋冬との違いは?
春夏スーツと秋冬スーツは、それぞれの季節に合わせて「快適性」を最優先に設計されています。たとえば春夏用は、トロピカルウールやサマーウールなど軽量で通気性の高い素材が中心で、裏地も最小限にとどめた背抜き仕様が主流です。一方、秋冬用はフランネルやツイルといった厚手で保温性に優れた生地が多く、裏地は総裏仕立てで風を通しにくくなっています。
オールシーズンスーツは、これら両極の中間に位置づけられるアイテムです。生地は中厚で、裏地仕様も季節を選ばない設計になっていることが多く、「暑すぎず、寒すぎない」バランスを実現しています。とはいえ、真夏の外回りや真冬の早朝通勤など、気温が極端に偏る場面では、さすがに万能とはいえません。
着用時期の目安としては、3月〜6月、9月〜11月といった季節の変わり目に最適です。春夏や秋冬スーツと比較すると、見た目の違いはさほどありませんが、体感温度や快適さに差が出るため、用途と季節のバランスを見ながら使い分けることが大切です。オールシーズンスーツを軸に据え、必要に応じて季節用を補完するという考え方が、実用面でも経済面でも無理のない選択といえるでしょう。

背抜き(せぬき)とは、スーツの裏地が背中の上半分までしか付いていない仕様のことです。背中の下側や脇部分に裏地がなく、通気性が良くて軽く仕上がるため、春夏用スーツによく使われるデザインです。
素材と裏地の特徴をチェック


オールシーズンスーツは、一年を通して着用できるよう設計された「バランス型」のスーツです。春夏・秋冬それぞれのスーツと比べて、生地や裏地の仕様が中間的で、快適さと実用性の両立を目指しています。ここでは、オールシーズンスーツの素材と裏地の特徴をわかりやすく解説します。
代表的な素材とその特徴
スーツの印象や快適性は、生地の質によって大きく左右されます。特にオールシーズンスーツに用いられる素材は、季節ごとの温度差に耐えられるよう調整された“中厚”が基本です。
素材名 | 特徴 |
---|---|
中肉ウール | 吸湿性・保温性のバランスが良く、季節の変わり目に最適。 自然な光沢でビジネスにも向く。 |
ウール×ポリエステル | 耐久性や速乾性があり、シワになりにくい。 着用頻度が高い方にもおすすめ。 |
ストレッチウール | 動きやすさを重視する人向け。 出張や外回りなど長時間着る場面でも疲れにくい。 |
たとえば、新入社員が入社式で着る定番のリクルートスーツも、実は目付260g/m²前後のオールシーズン仕様が多いです。こうしたバランス型の素材を選べば、年の半分以上は快適に過ごせます。
なお、オールシーズンといっても真夏や真冬に屋外で快適に着られるわけではないため、シャツやインナーでの調整を前提に考えると、より実用的に使えます。



異なる種類の繊維をどれくらいの割合で混ぜているかを表したものを混紡率(こんぼうりつ)と言います。
例えば「ウール70%、ポリエステル30%」のように、どの素材がどれくらい含まれているかを表すときに使われます。
混紡率がウール50〜70%程度だと、見た目もきちんとしていて、ビジネスの場でも信頼感を与えやすいですよ。
裏地の種類と選び方(総裏/背抜き)
スーツの内側に使われる裏地にも、着心地や耐久性に関わる工夫が詰まっています。特にオールシーズンスーツでは、「総裏」と「背抜き」という2つの仕様がよく見られます。
裏地の種類 | 特徴 | 向いている場面 |
---|---|---|
総裏 | 背中から袖まで全面に裏地がある。保温性が高く、型崩れしにくい。 | 初冬や冷房が強いオフィスなど |
背抜き | 背中の下半分に裏地がなく、軽くて通気性が高い。 | 春や秋、暑さが残る季節 |
たとえば、東京のビジネス街では、4月・10月でもクールビズの延長線で背抜き仕様のスーツを選ぶビジネスマンが増えています。逆に、11月上旬や梅雨明け直後のように、気温差が大きい日は総裏タイプが安心です。
裏地の違いは、見た目では気づかれにくいものですが、着心地・温度調整・スーツの持ちに大きく影響します。年間を通してスーツを着る機会が多い方こそ、裏地までしっかり確認することで、より満足度の高い一着になります。
オールシーズンスーツのメリット・デメリット


オールシーズンスーツは、快適な着用を実現できる万能な存在です。しかし、その利便性の裏には、気づきにくい弱点もあります。ここでは、実際に愛用しているビジネスパーソンの声を参考に、メリットとデメリットの両面から冷静に見ていきましょう。
メリット:通年着用でコスパ◎
オールシーズンスーツ最大の魅力は、なんといっても着用できる期間の長さです。たとえば、春から初冬にかけて3シーズン対応することで、わざわざ春夏用・秋冬用をそれぞれ用意する必要がなくなります。
実際、都内のオフィスに勤める30代男性の例では、年間を通して着用しているスーツの7割がオールシーズンタイプだといいます。その理由は、出張や外回り、急な天候の変化にも柔軟に対応できるから。
さらに、以下のような利点もあります。
- コスト削減:スーツの購入点数を減らせる
- クローゼットにゆとり:衣替えが不要になり整理が簡単
- 着回しやすいデザインが多い:ベーシックカラーやスタンダードなシルエットが多く、ネクタイやシャツの組み合わせがしやすい
1着で複数の場面をカバーできるというのは、働く上での安心感にもつながります。コスパを意識する方には、まさに理想的な選択肢です。
デメリット:真夏・真冬にバレる?対策は?
一方で、万能に見えるオールシーズンスーツにも弱点があります。最大の懸念は、極端な気温に対応しきれない点です。特に真夏の屋外や、真冬の早朝出勤では、「なんだか暑そう(寒そう)」と思われることも。
たとえば、7月の東京で中厚生地のスーツを着ていると、周囲がクールビズスタイルの中で明らかに浮いてしまうことがあります。逆に、12月の朝に同じスーツを着ると、寒そうな印象を与えるだけでなく、実際に体温も奪われやすくなります。
こうした事態を防ぐには、以下のような工夫が有効です。
- 夏場:通気性の良いインナーやメッシュ素材のシャツを使う
- 冬場:インナーベストや防寒用コートをプラスする
- 見た目の調整:小物で季節感を演出する(色や素材に注意)
以下に具体例を紹介します。
夏場の工夫例(暑さ対策・清涼感を演出)
シーン | 工夫ポイント | 内容 |
---|---|---|
通勤・外回り | シャツをクールビズ対応にする | 吸湿速乾・ノンアイロン・ニットシャツで軽やかに |
オフィス | ネクタイを外す | 第一ボタンを開けて、軽快かつ清潔感ある印象に |
打ち合わせ | 涼感インナーを着る | ユニクロ「エアリズム」などで汗をコントロール |
全体の印象 | 明るめのネクタイや靴下を選ぶ | 清涼感・爽やかさを演出するアクセントに |
冬場の工夫例(防寒と重ね着のバランス)
シーン | 工夫ポイント | 内容 |
---|---|---|
通勤 | インナーダウンを活用 | 薄手のダウンはスーツ下でもかさばらない |
室内 | スーツの下にベストを着る | ジレやニットベストで体温キープ+ドレッシー感もUP |
打ち合わせ | ウール混のコートを羽織る | ステンカラーやチェスターコートでフォーマルさを保つ |
全体の印象 | 靴・鞄を濃色系に統一 | 見た目の重厚感と冬らしさをプラス |
このように、気温に合った素材や色使い、小物の選び方を調整することで、オールシーズンスーツでも「無理してる感」を与えず、TPOに合った装いをキープできます。
とくに、クールビズ期間や冬の暖房が効いた室内では「着脱しやすいアイテム」と「通気性・保温性のバランス」がポイントです。季節に応じた着こなしを工夫すれば、同じスーツでも印象はガラッと変わります。



オールシーズンスーツを快適に着こなすには、季節に応じた調整力が求められますが、それもまたスーツの楽しみのひとつですね。
おすすめブランド別比較


オールシーズンスーツを選ぶうえで、「どこで買うか」は品質や価格、機能性に大きく影響します。ここでは、ユニクロ・洋服の青山・DANKANといった人気ブランドの特徴を比較し、それぞれどのようなニーズに合っているのかを具体的に解説します。さらに、レディース向けラインにも触れ、性別を問わず参考になる内容を網羅しています。
オールシーズンスーツ|ユニクロ編
ユニクロの「感動ジャケット」や「感動パンツ」は、ビジネスカジュアル対応の代表格。特に感動シリーズはストレッチ性・軽量性・速乾性に優れており、動きの多い外回りや真夏の室内勤務でも快適です。
ただし、正統派のスーツスタイルとは少し異なり、裏地や芯地を簡素化しているため、フォーマルな場面には不向きです。価格帯は上下で1万円台と非常に手頃で、スーツ初心者や在宅勤務中心の方におすすめできます。
オールシーズンスーツ|洋服の青山編
量販店の中でも安定した品質と信頼感を誇るのが「洋服の青山」です。中でも「PERSON’S FOR MEN」や「HILTON」シリーズには、260〜280g/m²のウール混生地を使用したオールシーズン対応モデルが多く、しっかりとしたシルエットと仕立てでビジネスシーンに安心して着用できます。
機能面では、防シワ・ウォッシャブル・ストレッチといった要素を持つシリーズも豊富で、選択肢が多いのも魅力です。価格帯は上下で3万円台〜8万円前後。スーツを仕事の主戦力にしているビジネスパーソンに適しています。
オールシーズンスーツ|DANKAN(ダンカン)編
DANKANは、コスパの良さとセミオーダーに近いフィッティングが魅力のブランドです。約2万円からオーダー感覚でスーツを仕立てられるため、自分の体型に合った1着が欲しい方にはうってつけです。
オールシーズン向けの生地も豊富で、目付260〜280g/m²のウール混素材やストレッチ対応の生地など、実用性を重視したラインナップが揃っています。選べるディテール(裏地、ボタン、ベントなど)も多く、個性と実用性を両立できるのがDANKANの強みです。
レディース向けおすすめライン
近年は、レディーススーツでもオールシーズン対応モデルが幅広く展開されています。たとえば、青山の「n line Precious」は、上品で華やかなデザインと機能性を両立しており、営業職や受付業務などフォーマルな現場での支持が高いシリーズです。ウール混のしっかりした生地に加え、ストレッチ性やシワになりにくい加工も施されており、忙しい女性にとって非常に実用的です。
また、WHITE THE SUIT COMPANYのセットアップスーツも注目されています。洗練されたシルエットと洗濯機で洗える仕様、イージーケア性を兼ね備えており、通勤から外出先まで幅広く対応します。カラーバリエーションやサイズ展開も豊富で、自分にぴったりの1着が見つかりやすいのも魅力です。
オールシーズンスーツを選ぶ際、レディースラインでも機能性とデザイン性を兼ね備えた商品が多数登場しており、TPOや好みに合わせて選べる時代になっています。ビジネスの現場でも“動きやすく、きちんと見える”スーツを求める女性には、これらのブランドが強い味方になるでしょう。
ブランドによって特徴や得意分野が異なるため、自分の目的や着用頻度、求める機能に応じて選ぶことが重要です。まずは試着し、素材感やシルエットの印象を確かめるところから始めてみてください。
ブランド名 | 特徴 | 価格帯 | 向いている人 |
---|---|---|---|
ユニクロ | 軽量・ストレッチ・カジュアル寄り | 約1〜2万円 | コスパ重視・在宅中心の方 |
洋服の青山 | 機能性・品質バランスが良い | 約3〜8万円 | フォーマルさ重視のビジネスマン |
DANKAN(ダンカン) | セミオーダー感覚・体型に合う | 約2〜5万円 | 自分に合ったサイズを求める方 |
WHITE THE SUIT COMPANY | 洗える・美シルエット | 約2〜3万円 | 通勤+きれいめを両立したい女性 |
n line Precious | 上品で実用的・女性らしいディテール | 約3〜4万円 | 営業職や受付などきちんと感が必要な方 |
こんな人にオールシーズンはおすすめ


オールシーズンスーツは、どんな人にとって最も頼れる存在なのか。それを明確にすることで、自分に合った1着を見つけやすくなります。仕事のスタイルや住んでいる地域、持ち物の数を見直すことで、オールシーズンという選択が合理的かどうかが自然と見えてきます。
たとえば、出張が多く移動が多い営業職の男性。夏でも冬でも移動先の気温差が読めないため、中肉素材のオールシーズンスーツは非常に重宝します。素材の目付が260〜280g/m²であれば、春・秋・初冬までしっかり対応でき、シャツやインナーで温度調整もしやすいのが利点です。
また、スーツを着る頻度がそれほど高くない職種や、在宅勤務が増えている方にもおすすめです。衣替えを気にせず、必要なときにすぐに着られる一着があることで、クローゼットがすっきりし、時間や手間も節約できます。
次のような方に特ににおすすめです。
- 毎日スーツを着るが、クローゼットはなるべくミニマルにしたい
- 春・秋・初冬の着用が多く、極端な暑さ寒さには対応アイテムで調整したい
- フォーマルすぎず、カジュアルすぎない絶妙なバランスを求めている
- 出張や移動が多く、1着で幅広く対応できるスーツが欲しい
- スーツ初心者で、まずは使い勝手の良い基本の1着を揃えたい
実際、初めてオーダースーツを作る際にオールシーズン素材を選ばれる方は多く、リピート率も高い傾向があります。
用途やライフスタイルを整理してみて、「なるべく1着で長く使いたい」という考えに近ければ、迷わずオールシーズンスーツを選ぶのが正解です。あなたの毎日に自然と溶け込む、頼れる相棒になってくれるはずです。



実際に使ってみると、その手軽さと着回しの効きやすさに驚くはずです。選ぶストレスが減ることで、毎日の装いに余裕が生まれますよ。
よくある質問
- オールシーズンスーツのデメリットは?
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最大のデメリットは「真夏と真冬の快適性」に欠ける点です。目付260〜280g/m²の中厚生地は春秋向きで、猛暑日や氷点下の朝には暑すぎたり寒すぎたりすることがあります。また、着用シーンによっては季節感にズレが出るため、TPOを意識したインナー調整や小物の使い分けが必要になります。
- オールシーズンスーツは何月から着られますか?
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一般的には3月〜11月が快適な着用期間とされています。とくに4月〜6月、9月〜10月は気温が安定しており、オールシーズンスーツの本領を発揮する時期です。真冬や真夏でも着用可能ではありますが、その際はインナーやコート、通気性の高いシャツなどで調整が求められます。
- オールシーズンスーツは何着持っておくべき?
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ビジネスで週3回以上スーツを着る方なら、オールシーズン対応のスーツは最低でも2〜3着あると理想的です。1着を週に2日以上着回すと劣化が早まり、シワや型崩れの原因になります。3着以上でローテーションを組めば、毎日の見た目を保ちつつ、長持ちさせることが可能です。
- スーツは何シーズンまでありますか?
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スーツは一般的に「春夏」「秋冬」の2シーズンに分かれますが、素材や仕立てによって「3シーズン(春・秋・冬)」や「オールシーズン(約10ヶ月)」というカテゴリも存在します。最近では、気候の変化に合わせた通年モデルが増えており、用途に応じて選択肢が広がっています。
- スーツは毎日着るべきですか?
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毎日着る必要はありませんが、着用頻度が高い場合は「毎日同じ1着」ではなく、最低でも2〜3着をローテーションさせるのが基本です。スーツは1日着たあとに休ませることで、生地が回復し、長く美しい状態を保てます。毎日の見た目にも変化が出て、清潔感の印象にもつながります。
- 11月上旬はスーツを着てもいいですか?
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もちろん着用して問題ありません。11月上旬は地域によってはまだ日中が温暖なため、オールシーズンスーツがちょうどよい時期です。朝晩の冷え込みが強い場合は、インナーやコートで温度調整を行えば快適に過ごせます。背抜きより総裏仕様のスーツの方が安心でしょう。
オールシーズンスーツは、選び方次第で1年を通して快適に活用できます。ご自身の着用スタイルや使用頻度を見直し、最適な1着を見つけてください。賢く選べば、毎日の装いがより快適でスマートになります。
Grazie!
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